日本のサラリーマンは【社畜】と揶揄される事もあるように、他国に比べて会社の力が強く、拘束力が強い文化が未だに残っています。
インターナショナル・リサーチ・インスティチューツによる世界24カ国1万4千人を対象にした「仕事と家庭の調和(ワークライフバランス)に関する世界意識調査の結果
「ワークライフバランスがうまく取れている」と答えた割合が最も少ない国が韓国(8%)、3番目に少ない国が日本(15%)でした。不名誉なランキングではありますが、まぁちょっと納得してしまいます。
では、海外で日本人が働く事場合は、ライフワークバランスはどうなるでしょうか?日本の企業で日本で働く事と、違いが出てくるでしょうか?
今回も【日系駐在員】【日系現地採用】【外資系企業採用】の3つの視点から見て行きたいと思います。
日系駐在員の場合
正直、日本にいる時よりきつい
日系の企業で駐在員として赴任する以上、親は日本の本社です。たとえ現地社員たちが定時に帰ろうが、有給フル取得しようが自分は日本企業のルールで動かざるを得ません。
管理職の場合
現地法人のトップなど、重要なポジションで海外駐在する場合は、非常に大変です。
とにかく付き合いが増えます。仕事が終わっても会食・飲み会・飲み会・接待・・・真っすぐ家に帰れる事なんてなかなか無いです。また、アジア圏であれば土日もゴルフ接待やらなんやらがあります。
駐在員の場合、国にもよりますが日本人のコミュニティが非常に狭い為、人付き合いをおろそかにするわけにはいきません。
本人は影響なくても子供の通う学校や幼稚園で影響が出たり、奥さんの駐妻ネットワークで支障が出たりします。公私ともに気を抜く事が出来ずに大変です。
役職が無い場合
私は24歳~駐在員としてタイ・ドイツ・香港で過ごしましたが、役職が無い場合は管理職の駐在員よりも付き合いは少ないです。
しかし、完全に日本ルールで仕事をする事になりますし、他の現地社員が定時で帰ろうが有給とろうが関係ないです。休めません。
上司の駐在員も現地スタッフには強く言えない分、こちらに色々言ってきます。徹夜・サービス残業・休日出勤やって当たり前みたいな雰囲気をゴリゴリ押しつけてきます。そして決まり文句のように
【日本にいる時よりも良い給料貰っているんだから貢献しろ】という感じです。
個人的には駐在員の手当てや高い給料は【自分の意思なく海外に飛ばされる我慢料】だと思っているんですけどね・・・
仕事内容
業種や職種によっても全然違うと思いますが、基本的に駐在員の場合現地の法人のマネジメントや、立ち上げ、新規開拓など【自分の力で切り開いていく力】が求められます。指示待ち人間の様な仕事をしている人はそもそも駐在員に抜擢はされないでしょう。
日本と現地で板挟みにあう事もしょっちゅうなので、やりがいのある仕事ではありますがストレスとプレッシャーもかなり大きいです。
駐在員のうつ病の割合が日本の3倍と言う数字が、これを物語っていると思います。
また、日本と時差の大きい国で働く場合、TV会議や電話会議が日本時間基準で行われるので早朝や深夜に会議参加する羽目になる場合もあります。
(これは、日本で外資系企業に務める人たちの逆バージョンですね)
とはいえ、日々の仕事自体は日本で勤めている時より圧倒的に自由になりますし裁量権も増え自分がやりたいように進める楽しさはあります。
逆に、サボり出したら止まらないですし、数字が落ちれば本社からボロクソ言われます。
自分を律してキッチリ仕事ができる人が求められます。
ライフワークバランス
上記で紹介した通り、基本的に駐在員にはライフワークバランスも何もあったもんじゃないです。
また一度海外駐在で外に出てしまうと、なかなか日本に帰れない人も多い。海外から海外、また海外へ・・・(いわゆるヨコヨコ)
子供の成長に合わせて学校の事などの問題も出てきますし、帰りたい時に日本に帰任出来る保証もありません。長期の単身赴任の可能性もあります。日本にいた時よりも家族との時間が増やすのはなかなか難しいと思います。
日系現地採用の場合
上司に次第では最高にキツイ
雇用契約は現地スタッフと同じにもかかわらず、トップの駐在員が日本ルールをゴリゴリ押しつけてくると最悪です。
定時で帰っていく現地スタッフを横目に、サービス残業の嵐。中には、駐在員のボスの休日のお付き合いまでさせられたり、通訳係の様な仕事を永遠とやらされたり。
私は、日系企業の現地採用は経験がありませんが、友人の話によると、【駐在員のボスは好き放題サボってて、仕事は全部やらせる人】や、【現地スタッフに文句をつける時に必ず現地採用経由で言わせる(嫌われ役にされる)】などなど、色々嫌な話は聞きました。
何がキツイかってそりゃ給料よ
何がきついかって、それだけコキ使われたり、駐在員より頑張ったとしても【給料が現地スタッフと同じ】と言う事。
また、どんなに頑張っても出世の上限が決まっていて、ボスの駐在員が数年単位で変わるだけ。と言うのもモチベーションが下がります。駐在員との給与格差もチクチクストレスになりがち。
キツくない現地採用もある
日系企業の現地法人でも、駐在員がいない部署というのも少なからず存在します。そういったローカライズされている会社の場合、うっとうしい日本人駐在員上司がいない為のびのび働く事が出来る場合もあります。
とはいえ、私が見てきた中では現地法人1つに対して駐在員のトップが2人と現地採用日本人が1~2人くらいの場合が多く、現地法人のトップに現地採用者を配置するような日系企業はまだまだ少ないかと思います。
仕事内容
責任ある仕事を回してくれない
上司に駐在員がいる場合特に顕著ですが、仕事は基本的にルーティーンワークがメインです。
プロジェクト立ち上げやらなんやらという重みのある仕事がまわってくる事は少ないです。海外でバリバリ働く事を夢見ていた人にとっては少し退屈かもしれません。あとは駐在員の通訳係やお世話係になったら最悪です。逃げましょう。
ライフワークバランス
駐在員より給料や手当は少ないのに日本にいた時の様に拘束時間が長くなる場合もあります。ただし、これは会社によってかなり違いがあるので、入ってみないと分からない所もあるでしょう。
日系企業の現地採用で働いて、家族との時間もしっかりとれている日本人もたくさんいます。
外資系企業採用の場合
自由度は高い
日本の企業じゃないので、企業風土と言うかそういった文化はガラっと変わります。
私は、欧州系の外資系企業に勤めていますが、定時で帰る人も多く、日系企業に比べれば理不尽な拘束時間の長さは無くなる事が多いです。
また、日本企業のような泥臭い付き合いと言うものはなく、取引先に対してもある程度ドライにビジネスをする事が多いです。これは良くも悪くも・・・と言うところですね。
結果を出すことに対する重み
日系企業と比べれば外資系(特に欧米)はリストラのリスクが高めです。与えられた役職やポジション相応の結果を常に出す事を求められます。
結果が全てです。日本企業に長く務めている人にとっては、これはこれでなかなかストレスになります。
日本の企業の様にみんながダラダラ残業するような事はありませんが、上記で書いた通り【理不尽な拘束時間】が無いだけで、残業地獄や帰れない時も普通にあります。
あと、年棒制の場合は残業手当は無い企業が多いです。
そもそも、楽をしたいから外資系という考え方をする方はいないと思いますが、念の為。
ライフワークバランス
とはいえ、長期休暇も毎年取れますし、日系企業に比べれば家庭と仕事のバランスは良いと思います。
結果さえ残せれば。ですが。退職金も無しにいきなりリストラされたらライフワークバランスどころじゃないですから、常にある程度向上心を持って仕事をする事が大切です。
まとめ
このサイトを見てくださっている海外で仕事をしたい!と考えていらっしゃる方々は、おそらく【海外勤務でキャリアアップしたい】【日本企業の空気が嫌だ】【自分の英語力を活かしたい】というような動機を持たれている人が多いと思います。
キャリアアップを望むなら日系駐在員や外資系、日本の会社にうんざりなら外資系を狙ってみると良いと思います。
日系企業の現地採用の場合、どのような空気なのか事前によく見る事が難しいので失敗すると日本で働くよりもしんどい思いをして、しかも給料が安いというリスクもあります。
もちろん、日本の企業でもキッチリした企業はたくさんありますし、現地採用で良い待遇に恵まれる人もたくさんいらっしゃいます。一概に決めつけるわけにはいかない事も確かです。
ご自身の海外で働きたい理由にあわせて、ターゲットを絞って転職活動・就職活動を進めて頂ければ良いかと思います。