投稿者:T.S.さん(男性 32歳)
タイ駐在員としてメーカーの現地工場立ち上げプロジェクト、工程・生産管理を担当
海外就職を選んだきっかけ
自分自身で、海外での仕事を希望していました。
その理由は、学生の頃、海外へボランティア活動に行き、日本との習慣の違いに驚いたからです。
特に、西アフリカ地域を中心にボランティア活動をした時は、貧困層の生活環境のひどさに少し戸惑いを感じていました。日本が非常に豊かな国、自由な国であると感じました。また、貧困な地域に住んでいても、人間性というのは、全く貧困ではないのです。
日本は貨幣社会と言いますか、お金で物を買って、生活する社会です。ですので、「自分の金で買ったものは自分の所有物」というのが当然の概念としてあります。
貨幣が通常に使用されていない、貧困地域では、いまだに物々交換の生活をしています。または、自分の労働により、物を手に入れるという生活です。
例えば、炊事に使う水は、家族全員で、遠くまで歩いて汲みに行きます。その為、水のありがたみも分かるわけです。自分で労力を費やして準備したきれいな水は、大切に使います。
日本では、水道の蛇口をひねればいつでも水が出ますが、海外ではそれが常識では無い地域も多くあります。日本に住んでいると、本当に狭い世界しか知らずに過ごしてしまうと実感したのです。その為、大学卒業時に、就職活動する時、海外への出張がある会社を選びました。
入社してから10年かかりましたが、現地工場立ち上げプロジェクトを任され、ついに念願の海外赴任の切符を手に入れました。
タイでの仕事について
海外の国に、自社の工場を建て、その工場でのライン作業を上手に回すというのが私の仕事でした。実際には、工場を建てるのは日本の設計担当者が図面を海外の技術者に渡して指示をしました。
私は、主にその工場内で働くスタッフへの、作業の説明、通訳を担当しました。正直、日本とは文化が異なる為、非常に大変でした。
タイの人たちの仕事について
自分が住んでいた地域はバンコク中心部です。バンコクの中心部だけは、日本とほとんど同じ位に発展して、人口も多いです。物価は、物によりますが、日本よりかなり安いです。
日本の企業も、その他の海外の企業も多くありました。道路も整備され、自動車も普通に走っており、日本車またはドイツ車が多かったです。
ただ、その程度に整備されているのが、バンコクの都心部だけなのです。少し外れた場所に、私たちが動かす工場を建てました。工場に必要な、広い土地が安く手に入るからです。人件費も、日本の3分の1以下です。
現地のスタッフの仕事の仕方は、「働き者だ」というのが第一印象です。作業員の募集は、現地で、なるべく手先を使う仕事に就いていた人を選び、工場内作業経験者を優遇して採用しました。
日本企業の工場での仕事というのは、現地ではとても人気のある職種です。優秀なスタッフが集まりました。
ただ、タイの人たちは作業が少し大ざっぱな点があります。細かい作業は、現地で募集した作業員の人には向かないようでした。でも、みなさん優秀な方なので、仕事の覚えは早かったです。
その為、工場で作業している間に、「もう少しここを丁寧に細かくやってくれ」とお願いすると、その点は素直になおしてくれます。色々と紆余曲折しながら、工場は上手く回り始めました。
海外就職して良かった事、悪かった事
良かった点は、何と言っても、日本とは違う文化に接し、色々な世界を見た事だと思います。海外生活して見ると、海外の良さ、日本の良さが改めて分かります。
私自身は、今は日本に戻ってきて、日本の仕事をしていますが、海外駐在時に出会った現地スタッフとの交流が今でも続いています。
海外就職の悪かった点は、食事が口に合わなかった事です。
日本食に慣れていた自分は、やはり毎日、海外の食事を食べるのは少し辛かった時もありました。その為、体重がだいぶ減って日本へ帰国しました。
しかし、総じて私の体験した海外駐在は、日本で得る事の出来ない貴重な体験になりましたし、海外での現地工場立ち上げのノウハウや現地スタッフへの技術指導、生産管理などは今後も活かせる経験です。
今後も、当社としてバングラデシュやカンボジアに工場を展開していく可能性も高く、またその時は工場立ち上げのプロジェクトリーダーとして海外赴任するかもしれません。
まとめ
製造業、メーカーの場合、安価な人件費を求めて今後も海外進出は拡大していきます。同時に、日本メーカーに求められる、高品質・高機能な商品の生産は日本人による細かい技術支援が必要不可欠です。
これらの経験を積む事は、その人のキャリア構築でかなりプラスになります。製造業の場合、先進国よりはまだまだ発展中の新興国への進出が多い為、生活面でストレスになる事もあると思いますが、挑戦する価値は大いに有ります。
メーカー・製造業経験者の海外就職の方法は別途詳しくご紹介していますので、下記をご参照ください。