日テレが提供するビンボー情報バラエティ「幸せ!ボンビーガール」という番組で、2016年4月5日に放送された「劇団ひとりの海外移住大調査」でタイに移住して働く日本人女性が特集されました。
当サイトも、【タイ 未経験 求人】などの検索数が爆発的に増えたので、ここで私の考えを述べさせてもらおうと思います。
私は、タイは駐在員として働いていた為、今回のTV放送の現地採用求人とはまた雇用形態が異なりますが、そういった点についても比較してみます。
番組の要点
番組で紹介されたタイの魅力
・英語がだめでも働ける
・手に職が無くても働ける
・日本人の知り合いは現地でたくさんできる
・タイに住んだ方がいい暮らしができる!
番組で紹介された実例
その1:夫婦でタイ移住
旦那さん:日系不動産業=月給19万円
奥様 :日系人材派遣=月給19万円
その2:27歳女性が1人でタイ移住
日本の通販会社の受発注業務=月給16万円
家賃全額補助
確かに、物価の安いタイなら家賃別月収16万円なら普通に暮らしていけるし、日本で1人暮らしフリーターをするよりは余裕のある生活ができると思います。香港と違って家賃が安いのも魅力的ですね。
番組全体を通して、やや誇張した表現と言うか、成功例に脚光を当てている感がありますが、おおむね上記のような余裕をもった生活はできると思います。
タイの現地採用で働く事について
タイの最低月給
日本人がタイで働く場合は、最低月給が6万バーツ(約18万5千円)以上である事が必要な為、上記の3人(夫婦と、女性)は最低賃金ギリギリの給料を貰っている事になる。
その2の女性は月給16万ですが、家賃全額補助の為、月給が安いです。タイの現地採用で家賃全額補助と言うのは結構珍しいと思います。
当初はもっと基本給が安くて、家賃手当+月給=6万バーツギリギリでスタートして、昇給していったのではないかと思われる。
タイの語学・経験不問の職種
番組では日本人向け不動産業や日本のネットショップの受発注業務等の仕事が紹介されていたが、他にも求人が出ている仕事が、「日本人対応のコールセンター」「ホテルスタッフ」など。比較的給料は安い仕事が多い。
コールセンターの仕事は、例えば女性用育毛剤の無料相談窓口などを日本ではなく、物価の安いタイやアジアのコールセンターで受けてしまおうというコストダウンの考えに基づき、日系の企業が安い人件費で運用しているケースが多いです。
日本の商品の問い合わせで、応対者も日本人なのに電話がつながる先はタイって、なんだか面白いですよね。(グローバル化というのか?)
キャリア構築になっているのか?
私が一番気になるのはこの点。
テレビのコンセプト自体が【幸せボンビーガール】お金が無くても幸せに暮らしているよっていう番組なので、将来的な事等は特に触れていない。
しかし、現実としては彼ら、彼女らは死ぬまでタイで働くつもりではないだろう。いつかは日本に帰ってまた仕事をする事になる。
その時に、はたしてちゃんと仕事に就く事が出来るのか?という問題がある。
あまり男女を区別するのは好きではないが、やはり日本社会では未だに「結婚したら旦那が養う」という風潮があるし、実際男性がしっかり働いて家計を支えないと子供ができて奥さんが働けない時などの収入に大きく影響する。
言い方が悪いかもしれないが、女性がタイで現地採用で働き、悠々自適に働きながら素敵な日本人男性(または現地の男性)と出会って結婚する事が出来れば最高かもしれない。
しかし、男性の場合はタイではプチリッチだったとしても日本に戻った時にまたボンビーに戻ってしまっては家族を養えない。
日系現地採用≒コスト削減
日本のネットショップの受発注管理をなぜわざわざタイで日本人を採用してやるか?を考えれば一目瞭然だが、「日本で日本人を雇うより安く済むから」だ。
その為、日本人現地採用は安い労働力として重宝されるが、あくまで一般職的なイメージを持っておいた方が良いだろう。そういった面では、仕事にやりがいを見出すのは難しいかもしれない。
やりがいのある大変な仕事は駐在員が行うのが普通だ。
駐在員と現地採用の待遇の格差
反して、駐在員としてタイで仕事をした場合はなかなかいい暮らしができる。高級マンションはもちろんだが、メイドがついたり運転手つきの待遇を受けている駐在員が多い。
現地採用の日本人との格差はなかなか大きく、月給ベースで倍以上、手当などを含めると3倍近く変わってくる事がある。
生活費についても、番組では月1万円で食っていけると紹介されていたが、これはかなりつつましくローカルフード中心の生活をした場合だ。
日本人同士で日本料理を食べたり、居酒屋でお酒を飲んだりするとなかなか高い金額が必要になる。私が夫婦でタイに住んでいた時は2人で食費が月5万円くらいは普通にかかった。
日本人コミュニティもたくさんあるが、やはり駐在員と現地採用では見えない壁があるような感じもあった。これはどの国も同じだと思うけれど。
海外勤務経験≠キャリアアップ
現地採用で最低月給水準で雇われて日本語しか使っていない仕事であれば、「タイで働いて得る経験」が乏しい。
将来的なキャリアアップを念頭に置いて転職活動をするのであれば、やはり海外でなければ経験できないような仕事に挑戦する方が後々の収入や待遇面でも大きく変わってくると思う。
そういった意味では、英語や現地の言葉も積極的に習得してよりいい条件の仕事に転職していく事が望ましい。
最初は語学不問・経験不問の仕事から始めたとしても、その待遇に甘んじず、海外でキャリアアップとスキルアップを重ねて行く事が出来れば、企業から望まれる「グローバルで通用する人材」として後々重宝される事になると思う。
まとめ
こういったメジャーな番組で海外で働く事についてのポジティブな情報を提供する事はとても素晴らしいと思う。事実、この番組で海外就職に興味を持った人(特に20代~30代)は多いはず。
しかし、海外で働く事の動機として【日本より楽に暮らせる・楽しそう】という考えだけで海外で暮らすのはそう簡単ではない。治安だって日本と比べれば決して良くはないし、タイの陽気なおねーちゃんと遊びまくってダメになる男性陣も腐る程見てきた。
海外で働く事において、自己の動機の明確化と、将来に向けたキャリアビジョンの明確化は重要です。
自分の将来を考えて、せっかくなら今後の自分のキャリアアップに繋がる海外転職に是非挑戦して頂ければと思います。