日本国内で働きながら海外への転職を目指す場合、なかなか現地の様子や状況を直接確認するのは難しいです。
必然的に求人情報の内容に依存した企業選びになる為、不安になったり選考に応募する勇気が出ない事があると思います。
大前提として、海外就職を目指すのであれば鮮度の高い情報を出来るだけ集める体勢が大切です。
私の場合は今の会社(香港)に転職する際は日本の大手転職エージェントサービス2社と、香港の地域特化したエージェント1社の合計3社に登録して、オファーを頂き、選考を進めました。
今回は、転職サイトや転職エージェントで紹介を受ける海外求人の求人票を見る時のポイントについてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
募集する職種や勤務先の国、応募条件などに目を通す事はもちろんですが、求人情報に載っていない事が多い下記のような細かい事についてもしっかり確認する事が大切です。
1.雇用形態・契約期間
現地採用か駐在員採用か?
日系企業の場合、駐在員と現地採用では待遇や手当、与えられる仕事もかなり変わってきます。また、外資系の企業の場合も本社のある国によってかなり色が変わります。
雇用形態はまずチェックすべき項目です。
もちろん、駐在員も現地採用も外資系企業もそれぞれメリット・デメリットがあります。
詳しくは別途記事を書いていますのでご参照ください。
契約期間に制限が無いか
日本国内で【正社員採用】となれば通常は契約期間が無い無期限の雇用契約がほとんどです。(正社員と契約社員の区分けが明確に存在する)
しかし海外の企業の場合は、契約社員などの区分けが無く【正社員でも雇用期間が決まっている】求人も見受けられます。
特に外資系企業の求人情報をチェックする際は雇用形態と同時に契約期間についても制限が無いか確認しておきましょう。
2.待遇面
求人情報の中で、給料や各種手当などの待遇面を気にしない方はいないと思いますが、海外求人の場合は日本での転職よりも詳細にチェックする必要があります。
ここでは、海外求人の待遇面についてチェックすべき項目についてご紹介します。
給料
日本円か現地通貨か
給料の支給が現地通貨なのか、日本円なのか。外資系の企業や現地の企業の場合は、現地通貨100%での支払いがほとんどだと思います。
現地通貨が流通性の低い通貨(例えばベトナムドンとか)の場合は、米ドルでの支払いも多いです。
日系企業の駐在員の場合、給料の支給方法は会社によって様々です。100%円支払いや、自分で現地通貨と日本円の割合を決められる会社もあります。ちなみに私が駐在していた時は現地通貨100%でした。
どの支給方法が良いか?は人によると思いますが、現地通貨と日本円の半々くらいで支給してもらえれば為替変動のダメージも少ないし、現地通貨で生活しながら日本円で貯金などのリスクヘッジも可能です。
各種手当
給料以外の各種手当の有無についても出来るだけ確認するようにしましょう。
日系企業の駐在員の場合は手当が厚い場合が多いです。
反面、外資系や現地採用の場合はほとんど手当については期待できない事が多いです。最低でも、家賃補助は有ったほうがベターですね。
代表的な手当
- 住宅手当
- 時間外手当
- 一時帰国手当
- 扶養家族手当
- 海外赴任手当
- 危険地域手当
など・・・駐在員では無い場合、一時帰国手当や赴任手当、地域手当は付かないと思います。
また、残業手当や有給休暇の付与日数も海外に出ると会社によってかなり変わってきます。中には、現地スタッフには残業手当を付与するが、日本人スタッフには付与しないようなガバガバな会社もあるのが現状です。
医療・保険・年金など
海外に暮らして働く際は、基本的には日本の住民票を抜いてしまう方が多いと思います。住民票を抜くと、国民年金の支払いは任意になり、住民税も発生しなくなります。
しかし、いずれ日本に戻る事を考えれば年金等は支払っておいた方がいいと思います。駐在員の場合は、厚生年金を継続して支払う事が多いです。
反面、外資系や地元企業、現地採用の場合は現地の年金積立等に加入する事はあっても、日本での国民年金や厚生年金の継続加入までフォローしてくれる会社はほぼ無いと思います。
また、海外での医療保険なども自分で入る必要があるのか、会社で加入してくれるのかなどを確認したほうが良いでしょう。
海外保険などに入っていないと、治療費が全額負担で非常に高額になるケースが多いです。
詳しくは下記記事をご参照ください。
>>海外転職・就職した時の年金と健康保険はどうすればいい!?
3:就労ビザ取得サポート
海外に住んで仕事をする為には就労ビザの発行と、国によってはワークパーミット(就労許可証)の取得が必要です。
就労ビザは、基本的には採用先の企業がスポンサーとなり申請します。しかし、現地採用や地元企業採用の企業の中には、自分で就労ビザとってくれ という会社もあるそうです。
就労ビザ申請には数十万円単位でお金がかかりますし、手続きも煩雑な為自力で取得するのは非常に大変です。
海外求人横暴の際は必ず【ビザ取得のサポートがあるか?】をチェックして下さい。
就労ビザやワークパーミットについては下記記事で詳しく説明しています。
4.面接場所
選考の流れとして、海外就職であっても 書類選考→面接→採用決定の流れは基本的には変わりません。ここで問題になるのが面接をどこでやるのか?と言う事です。
私が経験した中では、1次面接も最終面接も現地で、交通費は自腹のパターンと、1次面接はSKYPEで行い、最終面接は現地で。と言うパターンがありました。
ハイキャリアで、企業が欲しがるような人材の場合は、現地往復の飛行機代とホテル代、ディナーまで負担してくれるような場合もあるようです。(笑)ほとんど、ヘッドハンティングの世界ですね。私には縁が無い世界です・・・
自腹で何回も海外に面接へ行くのは時間的にも金銭的にも厳しいと思います。最低でも一次面接は日本で行えないかどうか確認をしたほうが良いでしょう。
ちなみに、駐在員募集の場合は、日本の本社で面接を進めるパターンも多いです。
5.会社の雰囲気、社風
日本の転職活動も同様ですが、海外の転職の場合余計に会社の雰囲気を掴む事は難しいです。
海外就職あるあるですが、日本ではとてもしっかりしていて雰囲気の良い大企業でも、海外子会社はトップ(たいてい駐在員)次第になる事が多いので雰囲気もガラっと変わる事があります。
場合によっては、海外の子会社の方がサービス残業・休日出勤何でもアリのブラック企業になっている場合もあります。
可能であれば、現地に行く機会を作って一度見学させてもらうのも一つの手です。日本からわざわざ訪れる事でその会社に対する意欲をアピールできますし、実際に見てみる事が一番良いと思います。
直接問い合わせても良いですし、転職エージェントに相談してアポイントを取ってもらうとういう方法もおすすめです。
また、転職エージェントの場合は、過去にその企業へ人材を紹介した実績があれば、内情等を教えてくれる事もあります。
その他、自分で調べておくべき事
求人の詳細以外にも、海外転職を検討する場合は事前に自主的に調べておくべき項目がいくつかあります。
代表的な項目について列挙しますので参考にしてください。当たり前の事ばかりかもしれませんが、逆に見落とすと痛い目を見る項目でもあります。
政治情勢・治安
国によっては宗教も価値観も違いますし、現在はイスラム過激派のテロも各地で発生しています。
外務省の海外安全ホームページなどで事前に最新の情勢や治安情報はチェックしておきましょう。
物価
その国の物価を把握しないと、求人情報に記載のあるお給料が適正価格かどうかを判別できません。
例えば、私が住んでいる香港では日本での初任給程度のお給料だった場合、物価が高すぎて生活はギリギリになります。日本食なんて食べてる余裕ありません。
海外で就職して、食べて行くのに精いっぱいのような状況になると、精神的にも非常に病みますので注意が必要です。
最低でも、現地で暮らしながら貯金もしっかりできる水準の給料がもらえる求人を探すようにした方が良いと思います。
チェックすべき代表的な物価は下記の通り
- 家賃相場
- 食費(ローカルフード、チェーン店、日本食それぞれ)
- 公共交通機関
- 医療費
特に家賃の相場は事前によく確認してください。駐在員の場合は住宅手当が豊富に出るケースが多いですが、現地採用や外資系の場合は住宅手当が乏しい場合があります。
外資系の給料が非常に高くても、実は家賃補助のある日系駐在員の求人の方がトータルで使えるお金が多かったりする事はザラにあります。
(少なくとも、私の周りの現地採用の人たちで家賃を100%会社負担してもらっている人はいませんでした。)
海外転職はエージェントを活用しよう!
上記で紹介した海外求人でチェックすべき項目は、実際には転職サイトなどの求人情報では詳しく載っていない情報も多いです。
その為、自分で応募前に求人企業に問い合わせして確認する事が出来ればベターですが、実際のところいきなり応募前に根掘り葉掘り聞くのは難しいです。
そんな時は、転職エージェントなど担当が付く転職サービスを利用する事もおススメです。
海外求人に強い転職エージェントを利用すれば、入社後の待遇や手当、社風など聞きにくい事も確認してくれます。また、採用決定後の給料交渉も行ってくれます。
海外就職活動は日本に住んでいると情報を取る事が難しい為、このような海外求人に強いエージェントに動いてもらいながら進めて行く事が非常に効果的です。
どの転職エージェントを利用すればいい?
転職エージェントや転職サイトはたくさんありますが、海外求人を豊富に取り扱っている以下の2社がおすすめです。
- Randstad(ランスタッド)
- リクルートエージェント
ただし、海外転職に強いエージェントでも、それぞれ特徴や強みが違います。
自分の目的や理想に合わせて、最低2つはエージェントを利用する事が海外転職成功のカギ!
A:自分のキャリアやスキル、語学を活かしてハイレベルな海外転職をしたい人
【ランスタッド】+【リクルートエージェント】の2社がおすすめ。
B:職歴は浅くても海外就職に挑戦したい人
【リクルートエージェント】と【キャリトレ】がおすすめです。
リクルートエージェントは、日系駐在求人から現地採用求人まで幅広い海外求人を揃えている為、キャリアアドバイザーと相談しながら自分にあった海外求人を見つけることができます。
キャリトレはビズリーチが提供する、若い世代向けの転職サービス。スマホアプリで簡単に海外就職の求人リサーチができます。
C:海外求人や英語を生かせる求人を気軽にチェックしたい人
【キャリトレ】がおすすめです。
エージェントではなく、スマホアプリで自分にあった求人を毎日気軽にチェックできます。
若い人向けの求人が中心で、海外求人も職歴が浅くても応募しやすい求人を見つけることができます。
まとめ
一度仕事を決めて海外へ移り住んでしまうと、転職先やその国が自分に合わなかったとしても簡単にリカバリーができません。
いざ海外で働き始めて【こんなはずじゃなかった・・・】と後悔しないように、事前に情報をしっかりと集めて、悔いの無い海外就職を目指して下さい!
海外就職に興味のある方は、下記の記事で海外就職の進め方についてとおすすめの職種について徹底的にまとめましたので是非ご参照ください。