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日系企業における駐在員の仕事と現地採用の仕事の違い

投稿日:2019年4月3日 更新日:

私は、タイとドイツと香港で駐在員として働いた経験があり、同じ駐在員だけでなく現地採用の日本人ともたくさん関わってきました。

その中で感じたのは、やはり駐在員と現地採用では待遇だけでなく仕事内容も考え方も全然違うと言う事。

今回は日系企業における駐在員と現地採用の仕事の違いについてご紹介します。

 

 

日本の海外現地法人はあくまで日本企業

私が以前働いていた業種が製造業関係だったことも関係するかもしれませんが、日本の会社の海外現地法人は日本の会社とあまりかわらないです。

理由は、トップに日本人の駐在員を置いている事が多いからです。現地法人のトップが日本人駐在員の場合は、やはり日本の本社を向いた仕事をします。部下に対しても【日本的な仕事の進め方】を要求する事が多いです。

また、業種にもよると思いますがメインの取引先が同じく日系企業の場合は、より日本的な対応やサービスを提供する事を求められる為、イメージとしては外国人が働いている日本企業という感じです。

ですので、仕事で会社と自宅を往復する毎日を送っていると、全然海外で働いている実感なんて沸かなかったりします。

 

郷に入っては郷に従うべきか

一般的に海外に進出した会社でマネジメントを行う場合は、「その国の習慣や文化を受け入れてビジネスを進める」事が大切だと言われる事が多いですが、日本企業は日本ルールを現地の人に教育(おしつけ)します。

それでいて、給料が良くない事が多いので現地スタッフの定着率が悪く、頭を悩ませる駐在員も多いようです。

とはいえ、私自身この日本ルールを一概に否定しているわけではありません。というのも、締めるところはキッチリ締めておかないと会社として機能しなくなるケースも多々あるからです。

詳細は伏せますが、某アジアの巨大な国の取引先とビジネスを行った時に、現地担当者同士でこっそり紹介料をとったりマージンを乗せて懐に入れている人がいたり・・・

と日本では信じられないような事を平気でする人達もいます。また、アジアの途上国では袖の下を要求されて断れば嫌がらせを受けたり・・・

 

 

駐在員の仕事内容

1ランク上の仕事

駐在員として海外の現地法人に赴任する場合、役職は1ランクか2ランク上がる事が多く、たいていは現地法人のトップ・20代~30代前半の若い人も何らかのDivision Manager職に就きます。

日本で普通に働いている時よりもマネジメント能力を発揮できるポジションを与えられる為、日本に帰任した時にも同期と比べると仕事に対する考え方などもかなりレベルアップできると思います。

 

会社経営全般

現地法人のトップとして働く場合は、現地法人の全てを見ることになります。これは日本で働いているとなかなか経験できる事ではないと思います。

とはいえ、日本の本社の経理や法務などの管理部門の決裁が全て必要なケースが多く、思い通りに会社を経営できるというわけではありません。あくまで雇われの身です。

どちらかと言うと日本企業における部長クラスの権限が与えられている程度、と考えた方が良いでしょう。

 

人事・経理・総務

今まで日本で営業一筋でやってきた人も、駐在員として現地法人のトップになった場合は全てを見なければなりません。優秀な管理系の人材がいれば楽ですが、現地法人立ち上げ当初や現地スタッフしかいない会社の場合、全て自分で把握した上で日本へ報告も必要になります。

規模の小さな現地法人を任された場合は資金繰り等も日本の本社と比べて厳しい事もあると思います。悩みの種は尽きません。

 

部下、現地スタッフの教育

現地の人材を雇用し、【いかに日本的なサービスができるよう教育できるか?】がキーポイントになります。特に取引先が日系企業の場合はこの点に苦労します。

国にもよりますが、日本のサラリーマンの働き方は海外の人から見たらただの異常者です。
有給使わない・サービス残業・報連相・・・・・

普通に考えれば、会社と労働の対価として報酬を貰う契約を交わしている以上、有給や残業代は雇用者側の義務であり、働く人の権利です。

しかし、日本ではいまだに権利を主張すると嫌な感じになります。早く良くなってほしいですね。

 

飲み会や付き合いが異常に多い

海外で仕事をしていると、日本人駐在員の繋がりは非常に狭く濃いコミュニティになっている為、付き合いが大変です。

また、現地法人のトップで働く人は毎日のように飲み会に誘われたり、こちらから誘ったりしなければなりません。

子供が学校に行っていたりすると土日も保護者会的なイベントやら飲み会があったり。1人の時間を作るのが大変です。国によってはゴルフも毎週のようにお誘いを受けます。

 

海外出張者の応対

海外の現地法人で働いていると偉い人が定期的に出張で来られます。
社長、取締役・・・などなど。

その時の応対は、駐在員の仕事の中でも非常に重要です。
出張が決まったら現地でのスケジュール作成、ホテルの予約、取引先へのアポイントメント、会食のセッティング等を速やかに行います。

実際に来られた時は空港へのお迎えも必要です。英語や現地の言葉が喋れない人の場合はホテルのチェックインやチェックアウトも全てサポートします。会食の後も人によっては夜のお店をご案内しなければならない事も。

海外出張の応対で一番大切なのは【トラブルに巻き込まれないように安全にお帰り頂く事】です。
特に途上国などでは神経をとがらせなければなりません。

ちなみに、土日を絡めて出張される方は観光もする気満々の人が多いです。土日もつきっきりで観光地へお連れしましょう。非常にめんどうで、大変な仕事ですが良い考え方をすれば【偉い人に顔を覚えてもらえるし、出世の為になる】と言う事です。

 

 

現地採用の仕事内容

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現地スタッフの仕事プラスアルファ

一般的には駐在員と比較して、現地採用の日本人の場合はより実務的な仕事を任されるケースが多いです。

現地採用で就労ビザを取得できると言う事は【専門職】【日本人にしかできない仕事】である必要がある為、仕事内容は日本にいる時と同じような仕事が多いです。

営業職であれば、日系企業の現地法人へ営業活動を行います。他には飲食や美容師、保育士、日本語教師など自分の資格やスキルを活かして海外で日本人向けにサービスを提供する仕事等。

給料や手当は現地のスタッフより若干高い場合が多いです。これは就労ビザ申請の関係上ある程度の給与が必要な為。

とはいえ、国にもよりますが現地スタッフと全く同じ条件の雇用の場合もあります。いずれにせよ駐在員が同じ会社にいる場合、待遇や給与の格差はかなり開きます。

特に、現地採用されて働いている会社のトップが日本人の駐在員の場合は色々としんどい思いをされる方が多いようです。

 

現地スタッフとは区別される

現地で採用されているにもかかわらず、駐在員の日本人は日本人現地採用を区別したがります。

人によっては、サービス残業や休日出勤やらそういった日本企業っぽい事を当たり前のように押しつけてくる人がいます。日本語が通じるスタッフが少ないと、翻訳ばかりやらされたりこき使われる場合も多々あると聞きます。

私も以前駐在員として働いていた時、現地採用の日本人が仕事が残っていても毎日定時で帰って有給100%取得するのを上司が見て、「何の為に日本人雇ったと思ってるんだ!」とブチ切れていた現場に遭遇した経験があります。

今思えば、おかしいのは我々駐在サイドだろうな、、と思います。外資系企業に勤めて日本の企業文化を離れてやっと気付く事が出来ました。しかし、ブラック企業のような待遇で働いている現地採用の日本人はいまだに多いと思います。

・・・とはいえ、自分の仕事も終わらせないで帰るような人間は外資系ならすぐクビになりそうですね。

 

どう頑張っても、トップには立てない

日本人の駐在員を現地法人のトップに置く会社では、いくら長く勤めて頑張っても基本的にはトップに立つ事はできません。トップは定期的に日本の本社から送られてきます。

日本企業でも、海外の現地法人のトップを現地の人に任せるような真の現地法人化を進めている所もあるようですが、私が働いていた業種ではあまり見た事はありません。

そういった意味では、モチベーションを保つのが難しいかもしれません。

 

 

まとめ

日系企業の現地採用、特にサラリーマン的な仕事をする場合は、現地の給料に見合わない仕事をしなければならなかったり、駐在員との格差で悩む事もあると思います。

今まで私が見てきた現地採用の日本人の方々を考えると、やはり海外で働くなら駐在員か外資系が良いと思います。

料理人や保育士日本語教師など専門的な職業であれば、自分のスキルと経験次第な所がありますのであまり気にしなくても良いですが、普通のサラリーマン的職業ならなおさらです。

海外駐在員として数年間海外で仕事をして職歴に箔をつけるか、外資系で自分の実力を活かしてキャリアアップ、スキルアップを狙う事が、後悔しない海外就職の方法だと思います。

それぞれの雇用体系のメリット・デメリットは下記に別途まとめていますので是非参考にしてください。

日系企業の駐在員として海外で働くメリットとデメリット

日系企業の現地採用として海外で働くメリットとデメリット

外資系企業の現地採用として海外で働くメリットとデメリット

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