東南アジアの島国であるフィリピンは、元来より日本との結び付きが強い国家です。親日的な人が多く、日本に来るフィリピン人も多く、歴史的に見ると長年友好関係を築いています。
英会話教室・製造業・サービス業を中心に数多くの日系企業が進出しています。今回は、フィリピンについての就職事情に関してご紹介します。
フィリピンの基本情報
概要
フィリピンは東南アジアにあり、日本と同じように島国です。首都はマニラで、フィリピンのキタに位置するルソン島にあります。南にはミンダナオ島があり、ドゥテルテ大統領で有名になったダバオがあります。
マニラは東洋の真珠と呼ばれており、マニラ首都圏の人口は1,000万人を超えています。世界的に見ても、人口上位20に入る巨大な都市です。
フィリピン全体の人口ですが、2015年のフィリピン国勢調査のデータでは、1億人を超えています。宗教に関しては、ASEANの中では唯一のキリスト教国です。国民の80%以上がカトリックで、イスラム教は全体の5%ほどに過ぎません。宗教にキリスト教信者が多いのは、アメリカの植民地であったことが影響しています。
識字率も高く、教育水準も非常に高いです。GDPの数値を見てみると、東南アジアの国家らしく上がってはいるのですが、近年になり上がり方が鈍化しています。一人当たりのGDPについても伸びが悪くなっており、経済成長はしていますがスピードが落ちています。
日本と良好な関係
フィリピンの貿易相手国は、輸出を見ると宗主国であったアメリカよりも、日本の方が多くなっています。このことからも、日本との経済における結び付きが強いことがあります分かります。輸入に関しては、日本は中国アメリカに次いで3番目です。
日本に在住する外国人の内、10%ほどがフィリピン人です。フィリピンに在留している邦人は、2015年の段階だと約17,000人です。
ドゥテルテ大統領が2016年より就任し、過激な発言で世界より注目を受けています。アメリカとの関係にも影響が及んでおり、東南アジアの力関係が変化する可能性があります。
フィリピンの気温や地理
フィリピンは東南アジアにある他の国家と同じように、熱帯性気候です。気温だけを見ると、年間を通して平均気温の差が少なく、一年を通して同じ服装で過ごすことができます。
平均気温は25度から27度程度の間で、東京だと8月の平均気温と同じくらいです。感覚としては、毎日東京の8月を過ごしていると考えると分かりやすいでしょう。
服装は、半袖やノースリーブのように日本の夏に着用する格好で構いません。ただし、フィリピンにあるホテルやデパートなどは、冷房が効きすぎていることがあります。したがって、日本の夏と同じように、冷え性の人は上から羽織ることができる衣服を用意するなど対策が必要です。
フィリピンの日中はとても日差しが強いので、サングラスや日傘など日焼け対策を行うと良いでしょう。6月から11月は雨季ですので、とても雨が多くなります。スコールも発生するので、折り畳み傘を用意する必要があります。12月から5月は乾季ですので、ほとんど雨は降りません。
フィリピンは島国ですので、日本と同じように多くの島々があります。その数は7,107もあり、最も大きな島は首都のマニラがあるルソン島です。南部にあるミンダナオ島がルソン島に次いで大きく、フィリピンの中心部には小さな島がたくさんあります。
フィリピンの物価
ローカルフードは安くておいしい
東南アジアの国家らしく、日本に比べると物価はかなり低いです。物価のバロメーターとして分かりやすい外食を見ても、屋台など安価なところでは数十円から数百円程度で食事を済ませることができます。
ただし、スターバックスやマクドナルドのようなチェーン店になると、日本との価格差は縮まります。スターバックスに至っては、日本とそれほど料金が変わりません。日本料理店などは、日本で食事をする8割ほどの料金です。
インフラ・家賃も安い
交通機関を見てみると、タクシーの初乗り料金は100円ほどなので、日本に比べるとかなり安いです。マニラには電車がありますが、こちらも40円から70円程度で乗ることができます。
家賃は、マニラ周辺だと日本円で2万円から3万円程度で住むことができます。都市圏から離れると、大幅に家賃が低くなります。ただし、セブ島は特別でリゾート観光地ですので、物価は高めです。
フィリピンの言語
フィリピンの公用語は2つあり、フィリピン語と英語です。英語は世界でのビジネスで使用される言葉なので、英語を話すことができる人が多いということは、かなりのアドバンテージになっています。
公用語はフィリピン語と英語ですが、母語として使用される言語は非常に多く、その数は172にもなります。アメリカの植民地の前はスペインの植民地だったので、スペイン語を話すことができる人もいます。華僑は中国語、イスラム教徒の間ではアラビア語が使用されています。
英語の質が高い
最近、オンラインの英会話スクールが流行っていますが、講師はほとんどフィリピンの方です。フィリピンの方を講師とすることで、安い受講料で英会話の授業を提供することに成功しています。
また、セブ島での短期英語留学なども日本で人気が出ていますね。
実際のところ、彼らの英語力については、確かに欧米人の英語ネイティブの人たちと比べると発音などはアジアよりですが、アジアの中ではトップレベルに英語力が高いです。
また発音も、香港やシンガポールなどほかのアジアの英語が使えるといわれている国と比較してもレベルが高いです。
(香港、シンガポールの英語は訛りがかなり強いです。)
フィリピンの治安
2016年のドゥテルテ大統領の就任以降、特筆すべきことは麻薬に関する取り締まりの強化です。現場の警察官の裁量により射殺されることも増えており、フィリピンで麻薬に関わることは必ず避けなければなりません。
麻薬に関する以外の犯罪を見てみると、フィリピンにおける殺人は、アメリカの倍ほどの数字がありますのでかなり高いです。強盗や強姦などの重犯罪の数値も日本に比べると高く、身の回りには注意しなければなりません。
ただし、強盗に関しては欧米の数値よりも低くなっています。
フィリピンの場所による治安の差ですが、マニラがあるルソン島はそれほど高くありません。南部にあるミンダナオ島は、イスラム過激派が活動している地域でもあり、危険度が増します。
マニラに関しても、フィリピンの全国と比較すると高い数値が出ていますので、注意が必要です。観光地であるセブは、数値がグッと下がり安全度が高くなります。
フィリピン人の仕事ぶり
仕事ぶりに関しては、東南アジアの国家に共通している部分があり、勤勉であるとは到底言えません。全ての人が適当に仕事をしている訳ではありませんが、仕事をしながら違うことをしているのを見かけることは日常茶飯事です。特に、街中の屋台やショップにおける勤務態度は良いものではありません。
一方、高級なホテルやレストランになると、一気に勤務態度が良くなります。英語を話すことができるのを武器として、英会話など様々な仕事をこなしています。
また、日系企業の現地法人など、一般的なオフィスワークに従事するフィリピン人は教育レベルが比較的高い水準にあることが多く、あまり勤務態度について心配する必要はないと思います。
フィリピン人の人柄
南国は陽気な人が多いと良く言われますが、フィリピン人もそのままで明るく優しい人が多いです。道を尋ねると親切に教えてくれる、チップを断るなど人当たりの良さがあります。
フィリピン人は敬虔なカトリック教徒なので、結婚をすることはできますが、宗教上は離婚することができません。とはいえ、実際のところは事実婚ならぬ事実離婚をしている夫婦も多いようです。
今後さらに近代化が進めば、そういった古い宗教上のルールもどんどん薄れてくるでしょう。
女性が強い
東南アジア諸国はみんな似たような感じですが、女性が強く、よく働きます。街中を見ると、仕事もせずにフラフラしている男性は良く見かけますが、遊んでる女性を見かけることは少ないです。
フィリピンの女性は働き者が多く、愛情も強いです。その反面、嫉妬深い側面がありますので、交際するときは注意しなければなりませんね。
フィリピンの就労ビザ取得条件
学歴や職歴年数等は特に制限が無く、同じアジア圏の香港やシンガポールに比べると比較的就労ビザの取得が容易です。
働く会社によってビザも変わる
シンガポールのほど学歴重視なわけでもなく、比較的就労ビザのハードルが高い国ではありませんが、やはり原則として【フィリピン人にはできない技術や専門性、管理職としての経験】などを求められます。
日系企業の場合、現地拠点の売り上げの7割以上が輸出である場合はPEZA認定というものを申請し、法人税や関税・付加価値税の免税を受けることができる制度を利用して進出する場合が多いです。
PEZA認定を受けている企業で働く駐在員の場合は、経済区庁(PEZA)ビザの交付を受けて働きます。
それ以外の場合(サービス業従事者や現地企業で働く人たち)は、通常の雇用ビザを雇用される企業に申請してもらい交付を受けます。
基本的には条件もそこまで厳しくないため、フィリピンで職を探すうえでは就労ビザの心配をする必要は特にないといえるでしょう。
フィリピン求人の状況
駐在員・現地採用含めフィリピンで働く日本人はたくさんいる為、日本人向けのサービス業でも常に求人があるのが現状です。
また、今人気のセブ島語学留学などのスタッフとして、リゾート地で働くスタイルも人気が高まっています。
現地採用
オンライン英会話の管理スタッフ、コールセンター、日本語教師、飲食店等の求人が多いです。飲食関連においては日本人向けに日本食チェーン店が大量に進出済みですので、日本人求人も途切れません。
他にも、一般企業(メーカー、商社など)の現地採用求人も数多くあります。こちらの方が、サービス業よりは給料も高い事が多いです。
日系駐在員
日系企業のフィリピン求人でも、駐在員待遇を受けられる募集は定期的に出てきます。特に、フィリピンは大手の製造業も進出しているため、製造業経験者も求人を見つけやすいです。
個人的には、日系駐在員採用の仕事を優先的に探す事をおすすめします。(手当や給与が全然現地採用とは違いますので)
駐在員待遇を狙おう
特に日系の現地採用の場合、家賃手当なし、給料安い、仕事はキツイの三拍子が揃う事があり、フィリピンのように比較的物価が安い国とはいえ、待遇や給料が安ければストレスが溜まります。
もちろん、現地採用でも良い職場はたくさんあると思いますが、高待遇の求人を見逃さないようにする事、特に『家賃補助の有無』を確認する事が非常に大切です。
フィリピン就職の進め方
では具体的に、フィリピンへの海外転職を進めていくにはどうしたらよいでしょうか?海外求人、特に駐在員求人や外資系求人は高待遇な求人が多い為、競争率が非常に高いです。
一度でも転職サイトで海外求人を探した事がある方なら分かるかと思いますが、人気の無い待遇の良くない求人ばかり残っていませんでしたか?
良い求人はすぐ応募が殺到します。万人にオープンになっている求人で、良い条件の職に出会えるチャンスがかなり低いです。
また、フィリピンはいま現地採用も女性を中心に人気が高まっている為、余計に競争率が高いのが現状です。
非公開求人をチェックする
良い求人を探す時のポイントは【非公開求人で優先的にオファーを貰う事】です。一般的な転職サイトの公開求人よりも質の高い求人を紹介してもらえるチャンスが非常に増えます。
個人的には【海外転職に強い大手転職エージェント】+【現地密着型のエージェント】の両方に登録してオファーを待つのがおススメです。現地密着型と大手エージェントをおさえておけば、かなり広範囲に求人をカバーできます。
海外就職に強い転職エージェントは、求人件数が圧倒的に多いランスタッドと、国内最大手のリクルートエージェントの2つをおさえておけば間違いないです。
フィリピンの現地密着型エージェントは、REERACOENなどが有名です。情報収集、現地での仕事での給料相場などをチェックするにはぴったりだと思います。
ただし、現地採用求人が多いため、リクルートエージェントやJACリクルートメントなどの大手転職エージェントも並行して利用することをお勧めします。
フィリピン密着型のエージェント
海外就職に強い転職エージェント
海外転職はエージェントを活用しよう!
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まとめ
フィリピンは、生活面においては海外の中でも暮らしやすく、物価も安く、食事もおいしい魅力がたくさんある国です。
また、フィリピンの求人は駐在員・現地採用共に幅広く様々な業種で募集が出ている為、自分にあった求人を見つける事が大切です。
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