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主要な国の就労ビザ・ワークパーミット取得条件一覧を徹底調査!

投稿日:2019年4月3日 更新日:

海外就職、海外転職活動を始めるにあたり、働きたい国が決まっている場合はその国の就労ビザの取得条件をチェックしてみましょう。各国によって条件は複雑ですが、今回は最低限の条件を簡単にまとめています。

記事が長いので、目次から確認したい国をチェックしてみてください。

※就労許可条件は日本貿易振興機構(Jetro)の情報を基本としております。

 

中国(中華人民共和国)

取得条件・概要

ビザ名称 Z査証
学歴 原則大卒以上(専門技術を有する場合は例外あり)
職歴・経験 2年以上の実務経験(原則)
働ける業種 制限なし

原則として日本人を雇用する特別な必要性があり、国内では当面適切な人材が不足しており、かつ国の関連規定に違反しない職務でなければならないという条件がある。

  • 専門的な実務経験がある、管理職として雇用される、中国語能力が多少ある場合は申請が通りやすい。
  • ビザ取得の条件について、中国国内の地方によって審査が通りやすい、厳しいなどばらつきはある。

以前の、日系企業の中国進出が盛んだった時代には日系企業に雇用される人間に対してはビザも比較的簡単に取れたり、新卒採用でもZビザを取得することができました。

しかし、近年ビザ審査が厳しくなってきており、職務経験なしでZビザ取得は難しくなってきています。(※)

日系企業のトップ(董事長、総経理)として赴任することになっても、ビザ申請から取得までかなり時間がかかる場合もあります。

とはいえ、日本で(または海外で)ある程度職歴があり、日本人を採用する明確な理由づけができればビザ取得は基本的に可能です。

※以前は新卒者が香港の就労ビザ取得のために職歴が必要でまずは中国で2年働いてから香港でビザ取得したというような話もネット上にありました。

反対に、新卒で中国採用しようとした日本人のZビザ申請が通らず、内定取り消しになった人もいます。国内の雇用情勢や景気、対日関係で嫌な意味でフレキシブルな対応を取られることを認識しておく必要があります。

>>中国で就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

香港(中華人民共和国香港特別行政区)

取得条件・概要

ビザ名称 Employment VISA
学歴 原則大卒以上(専門技術を有する場合は例外あり)
職歴・経験 大卒5年以上の職歴(日本、海外問わず)
働ける業種 制限なし
最低基本月給 20,000HKD~目安
  • 外国人が香港で就労ビザを取得する場合、原則として香港人では代われない業務を行うことが前提条件。
  • 大卒以上の学歴が必要だが大学名やランクなどはそれほど重視されていない。

香港(Hong Kong)の就業ビザは今までの職務経験と専門性(またはマネジメント経験)などを重視します。

例えば営業として何年も仕事をしていたのに、香港で就く予定の業務が総務や管理系の場合はビザ取得のハードルが上がります。

 

審査基準の厳格化

2013年くらいまでは、学歴と経験の条件は比較的クリアしやすかった(大卒で3年業務経験 または 高卒、専門卒で5年程度の業務経験)が、近年就労ビザ審査基準が厳格化されてきており、大卒で5年以上、高卒・専門卒で10年以上という当初の基準を求められる傾向にあります。

また、就労ビザ許可が下りるのは管理職または専門職のポストに限られる。採用する側の企業が香港のイミグレに対して、採用者(ビザ申請者)の経験と業務上の知識についてきちんと説明する事が不可欠となっています。

業務経験が浅く、香港就労ビザ取得が難しいが、どうしても香港で働きたい!と言う人は中国でまずZビザを取得して働いて業務経験を積んだ後に香港へ転職・異動するという方法もあります。

>>香港で就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

シンガポール共和国(Singapore)

取得条件・概要

ビザ名称 EP Pass、S Pass
学歴 原則大卒以上(S Passは専門卒・短大卒可能性あり)
職歴・経験 職務経験3年以上が目安
働ける業種 制限なし
最低基本月収 EP:3,300Sドル~ S:2,200Sドル~

EPパス=管理・専門職向け

EPパスの取得条件は・・・
①シンガポールにて管理職または専門職として就職するためのオファーがある。
②基本月給が3,300Sドル以上(実際通る申請は4,000Sドル~が多い)
③シンガポール政府が認知した大学の卒業資格、専門技術資格または専門職位。

特に、③の【政府が認知した大学卒】というところからもわかるように、シンガポールの就労ビザは学歴も重視する傾向があります。国公立・有名私立大学卒の場合比較的ハードルが下がります。

以前はEPパスもP1/P2/Q1と3つのランクがありそれぞれ最低給料や更新時期などに差が設けられていたが、現在は廃止されました。(2015年8月付)

 

Sパス=熟練労働者向け

Sパスの取得条件は・・・
①最低基本月給が2,200Sドル
②大学または高等専門学校卒業、短大卒
③または専門技術資格の保有者で、関連の実務経験がある人

SパスはEPパスに比べて条件が緩いが、採用する側(雇用主)のローカル社員数の20%まで(サービス業は15%まで)しか申請取得できません。

また、雇用主に対してはSパス保持者を雇用することで1人あたりに外国人労働者雇用税が課せられます。

>>シンガポールで就職する為の転職活動の進め方、各種情報について




タイ王国(Thailand)

取得条件・概要

ビザ名称 Non-Immigrant VISA
学歴 特になし
職歴・経験 専門性または管理職経験
働ける業種 39の外国人就労禁止業種以外
最低基本月収 50,000バーツ~

VISAだけでは働けない

タイで日本人が働くためには、Non-Immigrant VISA (就労ビザ)のほかに、労働許可(ワークパーミット)の取得も必要です。ワークパーミット無しで就労した場合も不法就労となります。

 

外国人就労禁止業種

以下の39の業種は、外国人は就労ビザがあっても働くことができません。自国の雇用保護の為の政策です。就労禁止業種は主に肉体労働や一次産業、職人系の仕事が多いです。

肉体労働・農業・畜産業・林業・漁業・レンガ職人・大工・木彫品製造・店員・ドライバー・競売業・監査役務・理容師・美容師・宝石加工業・織物製造・手すき紙製造・漆器製造・タイ特産品楽器製造・黒象眼細工・貴金属製造・石工・タイ特産玩具製造・托鉢用の鉢製造・仏像製造・靴製造・ナイフ製造・帽子製造・ローカル代理店業・タバコ製造・観光案内業・行商・露店業・タイ字のタイプ業務・事務員・秘書・法律関係・アシ、藤、麻、竹を原料とするマットやその他の製品の製造・・・・・・

 

厳しいわけではないが複雑

シンガポールのほど学歴重視なわけでもなく、比較的就労ビザのハードルが高い国ではありませんが、やはり原則として【タイ人にはできない技術や専門性、管理職としての経験】などを求められます。

また、雇用する側(就労ビザのスポンサー側)には条件やパターンがかなり多いため、大変です。日系企業でも業種によっては現地法人の役員にタイ人を入れることを求められたりすることもあるようです。

いずれにせよ、転職活動する側の人は求人の条件を満たしていれば基本的には就労ビザ取得ができると思いますので、そこまで心配する必要はありません。

>>タイで就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

ベトナム(ベトナム社会主義共和国)

取得条件・概要

ビザ名称 NN1、NN2、NN3、LD、DN(労働許可証)
学歴 大卒
職歴・経験 3~5年以上の実務経験・管理者、社長、専門家、技術者である事

数年前から、製造業を中心に日系企業のベトナム進出が増えていますが、社会主義国家という事もありビザの取得条件や法人設立などの法令は頻繁に変わるため常に新しい情報を入手する必要があります。

  • ビザ+ワークパーミットが必要。
  • 出身国の無犯罪証明提出が必要。
  • 就労できるのは外国法人の社長(役員)
  • 技術者の場合、1年以上の専門教育+3年以上の実務経験を証明が必要。
  • 専門家の場合、大学卒業(学士取得)+5年以上の実務経験を証明が必要。

駐在員事務所のトップや、現地法人のトップを務める場合以外は、ベトナムでの職務が本人の専門分野または技術を活かした職である必要がある。

とはいえ、シンガポールや香港などのアジアの先進諸国と比較すると、ビザは通りやすく、日系企業や飲食店の進出も多い国です。

>>ベトナムで就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

マレーシア

取得条件・概要

ビザ名称  雇用パス(Employment Pass)
学歴  大卒・短大卒以上
職歴・経験   特になし(27歳以上目安)
働ける業種  指定なし
最低基本月収 5000リンギ~

大卒・短大卒の27歳以上が原則。ただし、IT系業務の場合は23歳以上IT系の日本人現地採用が比較的盛ん。他の国と比較しても就労ビザ取得ハードルは低め。

 

 

インドネシア

取得条件・概要

ビザ名称 外国人労働許可証(IMTA)
学歴 大卒・専門卒(原則)
職歴・経験 5年以上
働ける業種 制限なし
最低基本月収 指定なし

ビザ取得が年々厳しくなっている

2013年の法改正で、ビザ発給の為には【就任予定の役職要件に応じた学力を有する】必要があります。明確に学歴や職歴について縛りがあるわけではないが、最近は学歴+職歴が必要なケースが多い。

高卒、専門卒であっても専門性を証明できる資格取得をしていて、雇用先でその専門性が活かされる仕事に就く場合は就労ビザ発給されるケースも。

 

 

台湾

取得条件・概要

ビザ名称  外僑居留証
学歴 特になし
職歴・経験 特になし
働ける業種 指定なし
最低基本月収 制限無し

就業ビザ発行の条件は基本的には下記の通り
①外国企業の台湾支社の責任者
②主務機関の許可を得て、台湾にて就業する外国人
③主務機関の許可を得て、学校または研究機構などにて研究もしくは指導する者
明確な条件などは無いが、転職活動の為にはある程度の学歴(大卒など)と数年の職務経験を求められる求人が多い。

 

 

韓国

取得条件・概要

ビザ名称  D-7 (駐在)・E-5 (専門職業)
学歴  指定なし
職歴・経験  専門経験優遇
働ける業種  制限無し

就業可能なビザは数種類ある

短期就業(C-4)、教授(E-1)、会話指導(E-2)、研究(E-3)、技術指導(E-4)、専門職業(E-5)、芸術興行(E-6)、特定活動(E-7)、非専門就業(E-9)、船員就業(E-10)、訪問就業(H-2)

ただし、現在では日本人向けビザ発給状況も厳しくなっている為、専門性が高い技術職など以外でのビザ発給は難しい。

韓国語の壁

韓国でビジネスを行う上で、重要な事は【韓国語がしゃべれるか?】です。

日本向けビジネスなども多い為、日本語が喋れる人間は重宝されますが、英語+日本語で働こうとした場合、全然相手にされない事があります。韓国内では韓国語が出来ないと円滑にビジネスが進まないともいわれています。

近い国ですが、働こうと思うとなかなか難易度の高い国です。

 

 

インド

取得条件・概要

ビザ名称 E-VISA
学歴 指定なし
職歴・経験 専門経験優遇
働ける業種  制限無し

プロフェッショナル・技術者以外は厳しい

専門的な知識と経験、職歴があり、かつ年収25,000ドル以上の所得が保証されない場合、就労ビザ発給は制限される。社会人経験と専門性を説明出来ないとビザ発給は難しい。

新卒(職務経験無し)の場合は、特殊な技能を持っていないとなお厳しい。

ITを中心に目覚ましい発展を遂げている注目の国です。今後もインドへの進出は加速し、求人も増えてくると思います。

問題は、タフな人じゃないと生活がキツイと言うことですね。

>>インドンドで就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

カナダ

取得条件・概要

ビザ名称 Confirmation of Offer of Employment
学歴 大卒(原則)
職歴・経験 指定なし
働ける業種 制限無し

職歴や経験の条件は厳格ではないが、ビザ発給は厳しい。

基本的にはカナダ現地企業がジョブオファーを出した者について申請を行い、許可が下りれば就労ビザが発給される。

しかし、原則的にその日本人の雇用が【カナダ人の失業率悪化に繋がらない雇用】である事を説明する必要がある為、必然的に専門的な職や技術を持った人が申請通過しやすい。
(追加で健康診断や面接を受けなければならない事もある)

駐在員の場合は、上記とは違う決裁ルートで申請が比較的通りやすい。ただし、1年以上の勤務実績と役員・管理職・専門職であることが必要。

 

 

アメリカ

日本人が働く為に取得する就労ビザは主に3つのビザがあり、貿易職の駐在員向け「E-1、E-2 VISA」、一般企業駐在員向けの「L-1 VISA」、専門職向けの「H-1B VISA」があります。

中でもH-1Bビザは採用活動をした結果、米国人有資格者が見つからなかったために外国人を雇うことを認める、という趣旨で発給されるビザです。

毎年定員が決まっており、近年倍率が非常に高く取得のハードルは高いです。学歴、職務経験、専門分野等を総合的に見られます。

近年、今まで日本人がアメリカで働く際に一般的とされてきたH-1Bビザの取得がかなり狭き門となっています。理由は、H-1Bビザの年間上限人数が激減したからです。

現状の一番の近道は、日系企業の駐在員としてL-1ビザを取得して働く事かと思います。

 

H-1Bビザの条件

  • 職務内容がプロフェッショナルなものであること。
  • 原則4大卒(学士)以上
  • その年のビザ発行数が規定数に達していないこと。
  • ビザ申請者の学位と職務内容が一致すること。

 

L-1ビザの条件

  • ビザをサポートする会社は、日本の会社の子会社または関連会社であること。
  • ビザ申請直前の3年間のうち最低1年以上日本の親会社に勤務していること。
  • 管理者または専門知識を有するもの。

L-1ビザは日系の企業の駐在員としてしか働けません。一方H-1Bビザは働く企業の制限はありません。(ただし、ビザ申請時の会社から転職の際は別途申請が必要)

上記の条件を見てもらえば分かる通り、転職してすぐアメリカ駐在員としてビザを申請するのはなかなか難しいです。

良くあるケースとしては、日本の本社に駐在員候補として転職し、1年程アメリカへ長期出張ベースで訪れて仕事をし、改めてL-1ビザの申請をして正式に駐在員として赴任するというパターンがあります。

>>アメリカ(北米)で就職する為の転職活動の進め方、各種情報について

 

 

まとめ

就労ビザの取得条件は国によって様々で、また一概に明確な条件が出ていない事が非常に多いです。その為、【大卒で職務経験3年あるから大丈夫】と言うように判断できるものではありません。

しかし、海外転職求人は【自国の雇用では調達できない人材】が欲しいから日本人に対して求人を出しています。その為、まずは実際に自分の行きたい国の求人を確認してみる事が良いと思います。

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