私の就職は、周囲から見れば成功だったと言われるかもしれません。
世間でも知名度の高い大企業から内定をもらうことができ、周囲からも「羨ましい」という言葉を何度も言われました。
新卒はネームバリュー重視で就職
私は内定をもらった会社に総合職として新卒で入社しました。
総合職の中でも、どの職種につくかは入社後の研修が終わった後に決まるというものでした。
就職活動時点では、それなりにこの仕事がしたいと言うものはあったのですが、具体性はなく漠然としていました。
「まあ何とかなるだろう」
と甘く考えていたし、ある程度大手ということもあり、年収や知名度を重視していました。
結局、仕事の内容よりも自分のステータスを最も気にしていました。
しかし、そんな私の考えは入社後の研修で一瞬で変わっていきました。
開発の仕事への強い憧れ
入社してすぐに研修が始まりました。研修中に各部署の仕事について紹介された時「どうしてもこれがやりたい」という職種がでてきたのです。
まだ製品化することができていない技術を製品化して世に出すということ、つまり私は開発の仕事に魅力を感じました。
しかし希望は出したものの、その部署に行くことはできずに、まったく興味もなく、希望していない生産技術という部署に配属されること。
この「生産技術」というのは、開発後や設計後の製品を高品質・高効率で量産するための体制をつくるための部署です。
その仕事をやっていれば、それも楽しくなってくると何人もに言われましたが、そんなことはなくとにかく嫌で嫌で仕方なかったことを覚えています。
数年がんばれば異動できる、と異動の可能性を考えました。そうすればがんばれると感じたのです。しかしその会社で異動はほとんどないことを知りました。
そして自分が希望している仕事につくことが、ほぼ絶望的であることがその後すぐにわかりました。そしてその時に転職することを考えたのです。
完全に甘い考えでした。自分でもさすがに早すぎるかもしれないと思ったのと、もしかしたら今の会社でもなんとかなるかもという期待があったので、とりあえず1年は働くことに。
そしていざ1年が経ちましたが、1年経っても環境も心境の変化も全くなかったため、転職活動を本格的に始めました。
第二新卒枠を活かして開発の仕事を探す
いわゆる「第二新卒」のタイミングでの転職でした。本格的に始めたものの、転職活動は右も左もわかっていなかったため、とりあえず転職エージェントに登録しました。
転職活動自体は自分が予想していた以上にスムーズにいき、思いのほか上手く進んだのです。
経験も少なく不利になるだろうと予想していたのですが、3社だけ応募したうち第1希望の会社、しかも世間ではかなり知名度のある大企業に入社することができました。
まだ社会人経験が浅かったということもあり、給料は現状維持でしたが希望の開発部署に転職できることに。
新規一転、改めてがんばろうと思えました。大企業に転職でき、希望だった職種にに就けたと聞けばこの転職は成功だったと言えるでしょう。
しかし実際はそんなことはなく大失敗でした。
理想と現実のギャップと自分の甘さ
希望の開発という仕事に胸を躍らせていたものの、実際に働いてみると想像していたものとはまったく違ったのです。「理想と現実のギャップ」がかなり大き過ぎました。
具体的に開発するのは関係会社の仕事で、私がする仕事は開発の計画や関係会社への発注、そして関係会社のサポートです。
直接的なものではなくがっかりしました。もっと技術的な仕事をしたいと思っていた私にとって、その仕事は決して楽しい仕事とは言えるものでなかったのです。
開発という言葉だけに捉われて、具体的にどういった仕事をするのかをよく調べることもせずに、会社の知名度に踊らされてしまった結果に。
完全に私が悪かったのです。さらに労働条件面もよく調べていなかったため、有給取得率も悪く、残業は毎月50時間以上でした。
それでもなんとか数年は働いたのですが、数年たったときに以前いた会社の同期とは年収面で大きな差が開いていることに気づきます。
それを知った時、転職しなければよかったと激しく後悔しました。
2度目の転職でやっと希望通りの仕事に
結局その会社は1年で辞めてしまいました。その後、再度転職した結果、やっとやりがいを見つけて心も安定しながら仕事ができています。
企業規模は小さくなったものの、自分の思い描いていた開発という仕事をやれることができる会社に所属し年収も若干ですが上がりました。
何回も転職するのは、あまり良くないことではないと言われているかもしれませんが、私は20代の内は何度やり直してもいいと間耐えています。
第二新卒での転職は確かに失敗です。ただあそこで転職しなければ今手に入れているような日々の充実感はなかったと思います。
もちろん、転職しないで新卒でやりたいと思える仕事に就けることがベストでしょう。
ただ、もしそれがだめでもやり直せることは十分にできると思います。
転職は確かに失敗のリスクがあるものです。もしかしたら転職した後に、私のように転職しなければよかったと思うこともあるでしょう。
しかし、もし失敗しても第二新卒としての転職であればまだまだ若く、そこからやり直すことは十分に可能です。
ただ、重要なのは「第二新卒」という制度をしっかり理解すること、転職先の企業をしっかり知ることなど事前の準備をどれだけするかだと思います。